金相場

強気の長期見通しを維持

金(gold)相場は年初来約13%上昇している。需要の高まりに加え、今後ETF買いが増加する可能性があるため、我々は金価格の予想を引き上げる。

  • 金(gold)相場は年初来約13%上昇している。米ドルが上昇し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測は後退しているにもかかわらず、ここ数週間世界の株式と債券をアウトパフォームしている。
  • この上昇相場の牽引役は上場投資信託(ETF)による伝統的な買いではない。米国が利下げに転じればETFによる買いが金価格を一段と押し上げるだろう。
  • 金価格は、我々の年末予想である1オンスあたり2,250米ドルを突破した。需要の高まりに加え、今後ETF買いが増加する可能性があるため、我々は金価格の予想を引き上げる。

我々はこれまでも金(gold)価格の上昇を予想しており、年末見通しを1オンスあたり2,250米ドルとしていた。だが、金価格はすでに我々の予想を上回る速さと力強さで上昇している。ここまでの上昇相場を牽引してきたのは、従来金の大量購入をしてこなかった投資家であり、伝統的な買手であるETFは依然として売り越している。事実、ETFの金保有残高は4年ぶりの低水準にある。米ドル建て資産に対する制裁、人民元の下落懸念、インフレリスクの再燃など、さまざまな市場不安が、各国中央銀行やアジアの投資家からの旺盛な需要の背景にある。1月と2月の暫定データによれば、中国は金の主要精製拠点であるスイスから132トンの金を輸入し、その他の各国中央銀行は64トン近くの金を購入した。こうした買手は価格に左右されにくいため、今後数カ月は金を積み増し続けると予想する。

さらに、金価格は過去最高値にまで上昇しているものの、ETFの購入者は金利動向に沿って動く傾向にあり、FRBが年央に利下げを始めれば金ETFへの資金流入が増加すると予想される。これがETFを通じた一段の需要拡大のきっかけになり得るだろう。よって、我々は金価格の予想をすべての期間で1オンスあたり250米ドルずつ引き上げ、新たに2024年6月末予想を2,300米ドル、2024年12月末と2025年3月末を2,500米ドルとする。米国経済指標がFRBの利下げ延期を示唆する場合には、短期的に価格が下落する可能性もある。だが、現時点での下落幅は我々が想定していたよりも軽微である。

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本稿はUBS Switzerland AG およびUBS AG Singapore Branchが作成した“Precious Metals Gold: Retaining a positive long-term outlook”(2024年4月8日付)を翻訳・編集した日本語版として2024年4月9日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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