House View Weekly

金融引き締め懸念で債券利回り上昇

投資家は、インフレが想定よりも長期化することを示すデータを引き続き消化している。2月のユーロ圏コア消費者物価指数は市場予想の前年同月比5.3%を上回り、5.6%に上昇した。

今週の要点

債券利回りは中央銀行の金融引き締めに対する懸念の高まりを反映

投資家は、インフレが想定よりも長期化することを示すデータを引き続き消化している。2月のユーロ圏コア消費者物価指数(HICP)は、市場予想の前年同月比5.3%を上回り、5.6%に上昇した。これは、1999年に単一通貨ユーロが誕生して以降、最大の上昇幅だ。前週には米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する1月のコア個人消費支出(PCE)が、前月比、前年比ともに上昇し、市場の失望をかっていた。

結果、投資家は主要中銀のより大幅且つより長期にわたる利上げを受け入れつつある。フェデラルファンド(FF)金利先物は日中、金利のピークを5.5%と織り込んだ。2月上旬時点では4.8%だった。債券価格は欧米ともに下落し(利回りは上昇)、米2年国債利回りが2007年以降で最も高い水準となった一方、ドイツ10年国債利回りは2011年以降で最高値をつけた。だが週後半にかけて利回りは低下(価格は上昇)した。

こうした動きは、市場が金融政策のハト派転換を織り込み過ぎているという我々の見方を裏付けるものだ。だが、逆風はあるものの、インフレと金融政策の転換点は、起こらないのではなく、後ずれするものと考える。

よって、引き続き債券に投資妙味があるとみている。債券のオールイン利回り(金利、スプレッド、手数料等含む)は、特にその他資産クラスへの投資機会に比べて、依然として魅力的である。

要点:引き続き高格付社債と投資適格社債を推奨する。また、中国の経済再開や不動産セクターへの政府資金支援が追い風となり得る新興国債にも上値余地がある。

米国議会が党派で分断しても、サステナビリティ投資は依然重要なけん引役

年金基金が気候変動などの要因に基づいて投資判断を下すことを回避する共和党の法案について、バイデン米大統領は拒否権を発動する見込みだ。共和党議員によると、主な投資基準は投資が生みだす金銭的リターンとすべきであり、この法案は、年金基金がESG(環境・社会・企業統治)要素を考慮することを阻止するものではない。

今回の対立は、投資判断において企業のESGへの取り組みを考慮することが依然として政治的論争になることを浮き彫りにした。だが、サステナビリティは投資家にとってますます重要な指針になりつつある。調査によると、ESG課題への優れた取り組みは高い投資リターンを生み出す。MSCIオールカントリー・ワールド(MSCI ACWI)ESGリーダーズ指数の年率リターンは、5年、10年ともにグローバル株式(MSCI ACWI)を上回っている。

昨年はサステナビリティ分野のグロース株がアンダーパフォームしたが、サステナビリティ投資は多岐にわたる投資機会を提供する。食料供給網、廃棄物処理、リサイクルといった数多くのバリュー指向の投資機会がある。また、サステナビリティに関心のある投資家も着実に増えている。2022年10–12月期(第4四半期)の世界のサステナブル・ファンドの運用額は、前四半期から11.6%増加した。これは市場全体の伸び率の約2倍にあたる。

要点:投資家には、セクター、運用スタイル、資産クラス全体に幅広く分散投資することを勧める。また、循環型経済、清浄な空気とCO2削減、スマート・モビリティ、エネルギー効率化といったテーマにも投資妙味がある。

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本稿は、UBS AGが作成したUBS House View-Weekly Global (2023年3月6日付)を一部翻訳・編集した日本語版として2023年3月7日付でリリースしたものです。本稿の末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本稿に記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本稿中の全ての図表にも適用されます。

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