通貨市場

通貨市場の実態を確認する

米国のインフレ圧力の緩和は米連邦準備理事会による金融引き締めサイクルが終了に近づいていることを示唆しており、米ドルの上値余地は狭まっている。

  • 米国のインフレ圧力の緩和は、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めサイクルが終了に近づいていることを示唆している。最終的な金利の着地点(ターミナルレート)の見通しが明確になるにつれて、米ドルの上値余地は狭まっている。
  • 中国経済が再開に向けて進展している兆候がある。これにより、米国以外の経済成長が強含み割高な米ドルを押し下げるだろう。
  • 米ドルについては、今回、短期的な上値余地を切り下げ、長期見通しにおける米ドルの下落幅を従来予想よりも広げた。新たな米ドルのロング・ポジションは推奨せず、売却水準を決めて過度な米ドルのオーバーウェイト・ポジションを削減することを勧める。

為替を含め金融市場は、最近のマクロ経済動向に反応して想定以上のスピードで変動している。多くの通貨が、我々の2023年末の目標にすでに到達しているか、上回っている。よって我々の予想と金融市場の期待の両方について、その実態を確認する必要があると考える。

11月以降の急激な為替の動きは、「足元の為替水準ははたして持続可能か?」「為替レートや金利は持続可能な金融情勢を反映しているか?」といった疑問を投げかける。我々は、目先の状況は大きくは変わらないものの、長期的な状況は変わりつつあることを反映して、今回、我々の2023年予想を幅広く修正した。

ユーロ/米ドルについては、2023年3月の予想を1.02に、2023年12月を1.10に引き上げた。英ポンド/米ドルについては2023年3月を1.16、2023年12月を1.30とする。同様に、2023年3月のドル円予想を140円、2023年12月を125円とする。また、米ドル/スイス・フランについては2023年3月を0.94、2023年12月を0.86とする。

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本稿は、UBS Switzerland AG、UBS AG Singapore Branch、UBS AG London Branch、UBS Financial Services Inc.、およびUBS AG Hong Kong Branchが作成した“Currency markets: Reality check in currency markets”(2022年12月15日付)を翻訳・編集した日本語版として2022年12月27日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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