マンスリーレター10月号

「新時代のディスカバリー」は続く

Year Ahead 2022「新時代のディスカバリー」で、我々はいくつもの市場で需給の新たな均衡を発見するプロセスが進む中で不確実性が生まれ、投資家はそれを乗り越える必要があることを指摘した。

2021年11月に発表したYear Ahead 2022「新時代のディスカバリー」で、我々は、いくつもの市場で需給の新たな均衡を発見するプロセスが進む中で不確実性が生まれ、投資家はそれを乗り越える必要があることを指摘した。

それから10カ月以上が経過したが、このプロセスに伴うボラティリティ(相場変動)と不確実性はまだ続いている。

米国では、サービスと住宅セクターで高インフレが続いており、ガソリン価格の値下がりと財供給の正常化で物価上昇が減速するとの期待が後退しつつある。労働市場は逼迫しており、労働力供給は新型コロナ危機前のトレンド水準を下回り続け、FRBはインフレ率が低下するまで利上げを続けるとの姿勢を崩していない。

欧州では、本稿執筆時点で、ロシアからの天然ガス供給が過去水準を20%以上下回っているため、さらなるインフレとマイナス成長が促されそうだ。ウクライナ軍が、ロシアの支配地域の一部を奪還したとのニュースを受けて、ロシア政府はこれまで以上に対抗姿勢を強めている。

中国では、不動産市場の過熱を冷やすためにとられた措置の影響で、不動産開発業者と住宅購入者が対立し、消費者信頼感が著しく悪化している(中国では家計資産の70%を不動産が占めている)。厳しい行動制限と後手に回っている新型コロナ対策の終わりはまだ見えていない。

ここからの展開はどうなるのだろう?

新たな需給の均衡に対する投資家の信頼感が高まれば、そこからの相場の反発は早いだろう。7月と9月初めの相場の急反発は、一時的とは言え、こうした状況が市場に反映された例であり、持続的な上昇に取り残されないためには、投資し続けることが唯一の方法であることを示している。我々の基本シナリオでも、2023年6月までに相場が上昇することを想定している。

しかし、米国のインフレ率が高止まり、欧州では冬が近づき、中国では10月に中国共産党第20回全国代表大会を控えており、金利がいつピークに達するか、企業利益がいつ底打ちするか、そしてエネルギー価格がどうなるかなど、依然として不透明な状況が続いている。したがって、我々は「新時代のディスカバリー」たる2022年は、年末まで不安定な展開になると考えている。以上を踏まえ、投資家に対し、投資を継続しつつも選別的アプローチを維持し、とりわけディフェンシブ株、インカム収入を期待できる銘柄、バリュー株、分散投資、安全保障関連株を推奨する。

本レターのここからのセクションでは、市場の不透明感とボラティリティをもたらしている世界的な変動要因のいくつかを検討し、今日投資を推奨できる分野に焦点を当てる。

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本稿はUBS AGが作成した“Monthly Letter: ‘Year of Discovery’ continues”(2022年9月22日付)を翻訳・編集した日本語版として2022年9月29日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。
Mark Haefele

最高投資責任者
UBS Global Wealth Management

Mark Haefele

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プリンストン大学で学士号、ハーバード大学で修士号と博士号を取得。フルブライト奨学生として、オーストラリア国立大学で修士号を取得。ソニック・キャピタルの共同創立者および共同ファンドマネジャー、マトリックス・キャピタル・マネジメントのマネージング・ディレクターを務め、チーフ・インベストメント・オフィスが設立された2011年に、インベストメント・ヘッドとしてUBSに入社。

ハーバード大学にて講師および学部長代理を歴任。市場動向ならびにポートフォリオ管理に関するハフェルの見解は、CNBC、Bloombergをはじめグローバルなメディアで定期的に取り上げられている。

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