ドル円

ドル円は直近高値に迫る

米ドルは7 月後半の対円での下落分を現在ほぼ取り戻し、7 月中旬の高値である139.4 円付近で取引されている。こうした米ドルの反発はほぼ我々の予想通りである。

  • ドル円の見通しについて、2022年12月を140円(従前予想:138円)、2023年3月を136円(同135円)、同6月を132円(同130円)に変更する。
  • ドル円が140円を上抜ける可能性は排除できないが、この水準が上値だろう。足元の為替水準には、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線が十分に織り込まれているように見える。

ドル円は直近高値まで再び上昇

米ドルは7月後半の対円での下落分を現在ほぼ取り戻し、7月中旬の高値である139.4円付近で取引されている。こうした米ドルの反発はほぼ我々の予想通りである。FRBの政策転換がより明確になるまで、ドル円は横ばいで推移するとみており、9月末のドル円予想を140円に据え置く。

ドル円が139円近辺まで急速に値を戻す中、投資家はこの先をどう予想したら良いだろうか?節目となる140円の水準を上抜ける可能性は排除できないものの、我々は140円がドル円の上値と予想する。米ドルについては、2023年の利下げという市場の楽観論をFRBがうまく後退させたと考えている。このことは、7月後半に2.8%まで低下していた米2年国債利回りが、現在新たに年初来の水準となる3.48%まで急上昇(価格は下落)していることからも見て取れる。この観点から、債券市場はもはやFRBの利上げ意思を「過小評価」しておらず、よってドル円のさらなる上昇のためには、米国金利と米ドルの一段高をもたらす米国経済指標での予想以上の強さという新たなカタリスト(材料)が必要となる。

円については、日本政府が複数の原発の再稼働と外国人観光客の受け入れ上限の引き上げを最近発表しており、今後数四半期にわたり円の下支え要因になると見込むが、効果は限定的だろう。むしろ、日米金利差に対するドル円の感応度を考えると、FRBの今後の政策の方がドル円の方向を占う上で重要だ。2023年は米ドルが円に対して下落基調をたどるとの我々の予想は、米国景気とインフレの鈍化に伴い、早ければ2022年後半か2023年初めにもFRBが利上げを停止し、2023年後半に最終的に利下げに転じるとの見通しに基づく。

投資判断

見通し:ドル円が急騰し、FRBの利上げ路線が十分に織り込まれたことから、140円近辺がドル円の上値に見える。

レンジ:ドル円が140円を上抜けると、ストップロス(利益確定と損失限定)による円売りドル買いが進み、1米ドル=142~148円までさらに上昇する可能性がある。

リスク要因:米中の緊張や欧州景気に対する懸念が高まる場合には、安全通貨に対する新たな需要を受けて円が下支えされる可能性がある。これには米金利の低下も必要条件となる。


本稿はUBS AG Singapore BranchおよびUBS Switzerland AGが作成した“USDJPY: Back to recent highs”(2022年8月29日付)を翻訳・編集した日本語版として2022年8月31日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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