Monthly Letter 7月号
4つのシナリオに備える
2022年上期に語られていたのは「スタグフレーション」シナリオで、インフレ抑制のためにFRBが利上げを加速させる懸念から、債券利回りの上昇と株価の下落を招いた。現在の問いは、どのようなシナリオが今年下期の市場をけん引するかだ。
2022.06.23
株式市場と債券市場は、将来の成長とインフレ率の道筋に関するさまざまなシナリオ、期待、不安によってけん引されている。2022年上期に語られていたのは「スタグフレーション」シナリオで、インフレ抑制のために米連邦準備理事会(FRB)が利上げを加速させる懸念から、債券利回りの上昇と株価の下落を招いた。
現在の問いは、どのようなシナリオが今年下期の市場をけん引するかだ。「スタグフレーション」、「リフレーション」、「ソフトランディング」(経済の軟着陸)、それとも「スランプ」(景気低迷)なのだろうか(図表1参照)。そして、市場は各シナリオにどう反応するだろうか。今やFRB高官は、毎月の消費者物価指数(CPI)の動向に注目しつつ必要な措置を講じていると示唆するようになったため、今後は、毎月のインフレ率データ次第で市場が大きく変動することになりそうだ。しかし、2022年の下期をどのようなシナリオが支配するかを市場がある程度見極めるには、もう暫くはかかるだろう。ボラティリティ(相場変動)はリスクと投資機会の双方をもたらすため、我々は十分に備えておきたい。
本レターでは、起こり得る各シナリオについて、実現までの経路、確率、市場への影響を検討する。さらに、各シナリオの投資アイデアを示す。
現在の市場は、特定のシナリオを確信してポジションを取ることが非常に難しい。よってこれまでと同様に、我々の目標は、さまざまなシナリオの下で資産を守り、成長することのできる、堅固なポートフォリオを構築することだ。
それぞれのポートフォリオにおいて、これらのシナリオにおける投資機会を幅広く発掘する。そうすることで、ボラティリティで投資機会が生まれた場合に、機動的に投資行動につなげることができる。
4つのシナリオに対応できる堅固なポートフォリオを構築したい投資家は、次に示すアプローチをとることを勧める。
最高投資責任者
UBS Global Wealth Management
Mark Haefele
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プリンストン大学で学士号、ハーバード大学で修士号と博士号を取得。フルブライト奨学生として、オーストラリア国立大学で修士号を取得。ソニック・キャピタルの共同創立者および共同ファンドマネジャー、マトリックス・キャピタル・マネジメントのマネージング・ディレクターを務め、チーフ・インベストメント・オフィスが設立された2011年に、インベストメント・ヘッドとしてUBSに入社。
ハーバード大学にて講師および学部長代理を歴任。市場動向ならびにポートフォリオ管理に関するハフェルの見解は、CNBC、Bloombergをはじめグローバルなメディアで定期的に取り上げられている。