創造的破壊技術

ABC技術への投資機会

人工知能(AI)、ビッグデータ(Big data)、サイバーセキュリティ(Cybersecurity)の「ABC技術」は、今後大きな投資機会が見込まれる。

まさかと思うかもしれないが、あなたは過去24時間の間にサイバー攻撃の標的にされていた可能性がある。ルーターがスパム攻撃の対象になっていたかもしれないし、マルウェアが含まれるEメールを受け取ったかもしれない。知らないうちに、デジタルライフも常に分析されている。友達がソーシャルメディアに投稿したあの写真はどうだろうか? その写真によって、あなたは自動的にタグ付けされているかもしれない。昨日訪れたあのウェブサイトはどうだろうか? PCのブラウザがあなたの閲覧履歴を追跡し、その個人情報を業者に売るかもしれない。

サイバー攻撃からデータを守る技術や、データを分析し利活用する技術は、デジタル技術を基盤としたエコシステムの根幹を支えている。これらの技術はインターネットのいたるところに存在し、日常のデジタルライフの一部となっている。我々は、こうした主要テクノロジーの1つとして「5G」に注目してきた。だが、急成長に向けた転換点を迎えているテクノロジーは他にもある。人工知能(Artificial intelligence)、ビッグデータ(Big data)、そしてサイバーセキュリティ(Cybersecurity)がこれに該当する。我々はこれを「ABC技術」と呼んでいる。これら3つのテクノロジーは進化を続け、多くの企業が導入を進めていることから、今後大きな投資機会が見込まれる。

テクノロジー株は、中国の規制強化や米国の金利上昇を受けて一時的に弱含む場面もあったが、2020~2021年は好調なパフォーマンスが続いた。フィンテック、グリーンテック、ヘルステック、5G関連の銘柄を中心とする「Next Big Things」テーマは、2021年には総じて良好な結果を残した。2022年以降は、その他の基盤テクノロジーにも投資機会が広がると予想する。

「ABC技術」テーマを牽引するのは、自動化、データ分析、セキュリティを中心とする力強い長期トレンドだ。これらは、多くの企業が力を入れている戦略的重点分野である。このABC技術の2020~2025年の年平均成長率(売上高ベース)は約10%と予想され、テクノロジーセクター全体の1桁台半ばから後半の予想成長率を上回るものと見込まれる(図表1参照)。

ABC技術を合計した売上高は、2020年の3,860億米ドルから2025年には6,250億米ドルに成長すると予想する。このうち最も高い成長率が見込まれるのはAI分野で、年率約20%の成長を見込む。残りのビッグデータとサイバーセキュリティの年平均成長率は8~10%程度とみている。これら2分野は相対的にディフェンシブ性が高く、ソフトウェア製品の向上・充実により利益率の上昇が見込まれる。

ABC技術関連企業の2020~2025年のEPS(1株当たり利益)は、健全なバランスシートとフリーキャッシュフロー創出に支えられて、年率16%の伸びを予想する。ABC技術は今後数年にわたって、妥当なバリュエーションで安定的な成長を提供するものと見込まれる。また、巨大テクノロジー企業からの分散投資先としても有効と考える。


本稿はUBS AG Singapore Branch, UBS Switzerland AG, および UBS Financial Services Inc が作成した“Tech Disruption – Investing in the ABCs of tech” (2021年11月9日付) の一部を翻訳・編集した日本語版として2021年12月24日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

最新CIOレポート

UBSのウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×

三井住友信託銀行のウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×