地球の未来への投資

Future of Earth

 

本ビデオについて

環境活動家・起業家として活躍するSuzy Amis Cameron 氏 とSolita Marcelli(UBS GWM 米州担当最高投資責任者)が、水資源を守り、温室効果ガスの排出削減、および地球の未来に投資することの重要性について語る。

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第1章

地球への投資

人類はこれまで様々な困難を知恵で乗り越えてきた。直近の新型コロナウイルスに対する迅速なワクチン開発はその良い例だ。一方、行く手に目を転じてみると、そこには地球環境問題という大きなハードルが横たわっている。経済学者は金融市場の信用収縮になぞらえて、これを「環境版信用収縮」と呼んでいる。限りある地球の資源を使い続けながら、現在の生活水準や消費レベルを持続的に維持することは不可能である。人類は、地球市民(グローバル・シチズン)、消費者、そして投資家として、地球環境の管理責任を負っている。我々には、次世代につなぐ地球環境の保全と生活のさらなる発展の両立を可能にする、持続可能な道筋を見出す力がある。「地球の未来」は我々の手の中にある。

第2章

人、健康、コミュニティ

地球の未来は我々の健康や生活の質と密接に関係している。地球環境は食物や居住環境、呼吸する空気にも影響を及ぼす。気候変動への取り組みは喫緊の環境課題であるだけではなく、地球に暮らす一人ひとりにかかわる問題である。このテーマでは気候変動が健康やコミュニティに及ぼす影響を掘り下げ、生活環境へのリスクの防止・軽減、そして継続的な管理に向けた実行可能な選択肢を示す。

投資先
  • 気候変動に関連する疾病治療(医薬品および医療機器)
  • 都市計画ソリューションとスマートシティ技術
  • 従業員の労働環境の改善と物理的な気候変動リスクの軽減に効果的に取り組む企業
第3章

エネルギー

世界の温室効果ガス排出量の3分の2以上はエネルギーに起因しており、化石燃料からの脱却が求められている。しかし、エネルギーの脱炭素化と同時に、世界のエネルギー安定確保も重要な課題である。増え続ける世界人口の需要に応え、いまなお照明や料理など日常生活に必要な電気も利用できない多くの人々の生活向上を実現するには、経済の持続的な成長・発展に向けてエネルギーを安価で安定的に供給する体制づくりが急がれる。

投資先
  • 輸送の電動化、燃料電池、蓄電池および代替燃料
  • 二酸化炭素の回収およびエネルギー効率を改善するソリューション
  • 自社の二酸化炭素排出を効果的に抑制する企業
第4章

土地

経済協力開発機構(OECD)によれば、土地利用はエネルギー部門に次いで 2 番目に大きな温室効果ガスの排出源である。土地利用による温暖化ガスは主に土地開墾や集約農法などにより排出される。居住可能地への影響や、我々が快適な生活を営む上で享受している生態系の様々な恩恵(飲み水、食物、呼吸する空気など)を考慮に入れると、環境コストはさらに上昇する。森林破壊が進むと、CO2の吸収源として大きな役割を果たしている樹木が減少する。こうした持続不可能な土地利用は温暖化削減目標の達成を困難にする。

投資先
  • 土地利用の監視およびサプライチェーンの検証
  • スマート農業技術
  • 持続可能な生産・消費の実践とソリューション
第5章

貴重な淡水の70%近くが農業で使用されている。人口増加、生活水準の向上、新興国の都市化・産業化や、気候変動に起因するサプライチェーンの変化などにより、世界の水供給配分への重要性は高まるだろう。限りある飲料水資源を適切に維持管理できない場合、多大な社会・経済コストが発生する。言い換えれば、貴重な水資源の利用を最適化できれば、人類への恩恵は極めて大きい。

投資先
  • 水道のスマート化、自動水管理システム・自動メーター
  • 水質検査と脱塩機器
  • 業務およびサプライチェーンで効果的に水の消費量を抑制する企業

サマリー

人、健康、コミュニティ

エネルギー

土地

地球への投資

第1章

地球への投資

深刻化する気候変動危機には待ったなしの対策が必要である。異常気象から健康に被害を及ぼす大気汚染まで、気候変動がもたらす環境や人的被害は現時点ですでに顕著に現れている。米国の保険関連会社によると、2020年の自然災害による経済損失は世界全体で2,680億米ドルに上った。米国だけでも昨年は22件の自然災害が発生し、経済損失はいずれも10億米ドルを超えている。 これは2019年の2倍以上に相当し、過去最高を更新した。

気候変動問題への取り組みには、官民の協力・連携が不可欠である。より持続可能な未来への移行は、投資家にリスクと機会の双方をもたらす。気候変動は資産価値の変動を高める一方、環境フットプリント(製品や企業活動が環境に与える負荷)の削減に努め、将来に備えて対策に乗り出す企業も増えている。気候変動問題の解決に向けた革新的技術の開発を進めている企業は、長期的な成長が期待できるだろう。

投資先
近年、さまざまなサステナブル投資戦略やテーマ投資戦略が提供されており、これらを用いることで投資家は、企業レベルでの評価をポートフォリオ構築プロセスに組み入れることができる。テーマ投資戦略は通常、独自性や革新性が高い製品・サービスからの収益が高い企業を投資対象としている。一方、サステナブル投資戦略では、多様なその他の要素も考慮しながら企業活動を分析する。テーマ投資とサステナブル投資は重複する場合が多く、多くの戦略では投資分析において両要素を考慮している。

環境災害による経済コスト

経済コストが10億米ドルを超える自然災害の件数(軸の内側) 自然災害関連コスト(10億米ドル、軸の外側) 出所: 米海洋大気局(NOAA)、UBS

人、健康、コミュニティ

第2章

人、健康、コミュニティ

大気汚染は世界では第4位の死因である。大気汚染は呼吸器疾患や心疾患のリスクを増加させ、一部の癌の主要な環境要因でもある。また、大都市における極暑や、気温上昇に伴う昆虫媒介の感染症拡大なども、気候変動が人間の健康に与える影響として挙げられる。

気候変動は人間の健康だけでなく命に関わる影響も及ぼし、社会コミュニティの持続可能性をも脅かす。こうした悪影響は新興国の一部で特に顕著に現れており、低所得者層が住む場所を追われたり、極端なケースでは人が住めなくなる地域が出現するリスクもある。こうした潮流に伴い、人的被害だけでなく多額の経済コストも生じている。

投資先
気候変動に関連する疾病治療においては、オンコロジー(がん診断・治療開発)、ヘルステック、呼吸器疾患や心疾患の医薬品および医療機器といった分野に魅力的な長期的成長が見込まれる。

また、廃水処理施設建設や、洪水・異常気象等に対する浚渫工事や防災設備を手がける上場インフラ企業にも投資妙味があるとみている。厳選したグリーンボンド、サステナブル地方債、インフラ関連融資を提供する地域金融機関も有望な投資先だろう。

さらに、投資判断においては、CO2排出量の多い業種の企業活動が人の健康に及ぼす影響についても考慮する必要がある。公衆衛生、職場の安全、平等といった社会問題に優先的に取り組む企業は、健全で安定した労働力を長期的に確保できるだろう。

大気汚染に起因する死亡原因上位5位(単位:千人)

注:COPD=慢性閉塞性肺疾患、ALRI=急性下気道性感染症
出所:世界保健機関(WHO) “Ambient Air Pollution: A global assessment of exposure and burden of disease,” 2016

エネルギー

第3章

エネルギー

エネルギーは世界の経済成長を支える。エネルギーの安定供給は生活水準に影響する重要な要因であるが、いまなお世界の多くの地域が電力を安定して利用できない状態にある。

完全な脱炭素化やクリーンエネルギーへのシフトは決して容易ではない。いかなるエネルギー源でも供給を増やすには何十年もかかることを歴史が示している。だからこそ、いまこの取り組みを始めることが重要である。

都市化や産業化に伴うニーズの充足という現実的な問題と環境コストとのバランスを両立させるには、長期計画が必要である。エネルギー生産や再生可能エネルギーへの移行だけでなく、カーボンプライシングなど都市、州、国家による革新的な取り組みや政策も、長期の時間軸での制度設計が求められる。

投資先
エネルギー分野に注目する長期投資家には、水素、燃料電池、蓄電池、バイオ燃料、CO2回収・貯留、エネルギー貯蔵・輸送、エネルギー効率など、新技術によって拡大する再生可能エネルギー・セクターに多くの機会が存在すると考える。

プライベート市場では、大規模な風力・太陽光発電所に加えて、電力会社の送電網につながっていない自給型の再生可能電力インフラも実物資産への投資機会をもたらす。

プライベート市場の投資家は、低炭素経済の移行に直接対応した製品やサービスを扱う企業や、規制や消費者からの圧力の高まりに対応して、自社の二酸化炭素排出量を効果的に抑制する企業にも投資機会を見出せるだろう。

衛生的な調理環境がない人単位:百万人(軸の外側)

サハラ以南アフリカ インド 中国 その他のアジア 上記以外
住宅電力需要における従来型バイオマス利用の比率(%, 軸の内側) 出所:国際エネルギー機関(2020) 、World Energy Outlook 2020、IEA、Paris

土地

第4章

土地

持続可能な土地活用は、気候変動目標達成の鍵である。国連はその画期的な「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書」で陸地表面の75%が人間活動によりその姿を大きく変えていると示唆している。一方、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、二酸化炭素排出量全体の約21~37%が食料生産に起因すると試算している。

環境問題と生物多様性の損失を食い止めることは、非常に大きく複雑な課題である。環境破壊やシステミック・リスクを抑えるには、食料や衣類の生産や消費方法、それらのサプライチェーン、そして我々のライフスタイルを見直す必要がある。こうした中、投資家および政府の間では、土地の不適切な管理や加速する自然破壊へのリスク認識が高まっている。さらに、保全や土地活用ソリューションへの投資機会にも関心が高まりつつある。

投資先
食品トレーサビリティの改善や廃棄物の削減、市場効率性の向上等に向けて、サプライチェーン全体で、テクノロジーを基盤としたさまざまなデータプラットフォームが開発されている。ブロックチェーンのような分散型台帳プラットフォームは、食品トレーサビリティを強化する効果的な方法を提供する。

デジタルソリューションは、従来農法の効率性を高め、資源集約度を低減させる上で効果的な役割を果たす。生産量を上げながら環境への影響を最小限に抑える精密農業や、農家の営農判断を支援し、農業用水の消費量を低減できるかんがい技術などがその一例である。

消費者の嗜好の変化も、食料生産におけるCO2排出を低減する役割を果たすだろう。植物由来の食生活や食料廃棄をなくすためのソリューションへの支持も高まっている。

主要なトレンドの移行が生み出す収益機会予想(~2030年)単位:10億米ドル

*…および追加拡張の停止
**…(動物性たんぱく質の摂取低減)
出所:世界経済フォーラム、2020

第5章

地球全体でみれば水は豊富に存在する。地球の71%は水で覆われている。だが、世界の水のうち淡水はわずか2.5%に過ぎず、そのうち69%は凍結した氷河や氷冠である。このように水の供給は硬直的であるのに対し、需要は増加する一方である。20世紀初めの1900年から2010年までの間に、世界の人口は4.4倍増加する一方、世界の取水量は7.3倍に拡大した。

人口増加や生活水準の上昇、新興国市場における産業化、インフラ不足といった長期的なトレンドは水の需給に大きく影響する。気候変動も、世界の水供給の質、量および時期に大きな影響を与える。国連の推計では世界で22億人の人が安全な飲料水を確保できていない。また、水不足により2030年までにおよそ7億人が住む場所を追われる可能性がある。

投資先
水道事業体および水資源関連の民間企業はともに水需要の増加による恩恵を受けるだろう。水道事業は水道料金の引き上げ、使用量の増加、業界再編、新興国市場を中心とした都市化や産業化による廃水処理需要の高まりが追い風となり、一方、民間企業は主に機器販売が増加するとみている。

プライベート市場の投資家は、水道事業やスマート水道ネットワークなどのソリューションを提供する企業や、水消費量を効果的に抑制する企業への投資を通じて、水関連の機会を捉えることができるだろう。

用途別水使用量の割合(地域別)単位:%

農業用水 工業用水 水道用水
出所:国連食糧農業機関、Water use (2015)。AQUASTAT – FAO’s Global Information System on Water and Agriculture(2020)より抜粋.

本ページはUBS Financial Services Inc. (UBS FS)、UBS Switzerland AG、UBS AG Hong Kong Branch、UBS AG Singapore Branch、およびUBS AG London Branchが作成したレポート” Future of Earth: Investing in solutions for a more sustainable planet” (2021年4月20日付)を参照した内容です。

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